咲良が俊太郎に仕掛け、それをかわし、ガードする。
「小栗俊太郎…なんでマジでこない…」
「咲良さんは…マジ…なんですか?」
「あたしは、いつだって…マジだよっ!」
咲良が右フックを放つ。
「!?」
そのフックを捌いて、背負い投げを出した俊太郎。
「あぐっ!」
咲良が強かに地面に叩きつけられた。
「咲良さん!すいません!大丈夫ですか!」
「……小栗俊太郎…あたしの負けだ…」
「え?」
咲良がフラフラと立ち上がる。
「地面に一発殴られた…あたしの負けだ…強いな…お前…」
咲良が握手を求めた。
「咲良さん…じゃあ?」
「約束だ…付き合ってやる…」
「うっしゃあああああ!やったぜ、クロ!」
「(なんだ、結局、由依さんのいった通りになったか…)」
「咲良さん、本当に大丈夫?怪我ない?」
「受け身はとった、大丈夫…じゃあな…俊太郎」
「はい!」
「おい、俊ちゃん」
黒崎が咲良を見送る俊太郎に話しかけた。
「お前、端から宮脇さん殴る気なかったろ?」
「当たり前だろ。あんな超絶カワイイ咲良さんを殴れるかっての」
「先に殴られていたらどうするつもりだったんだ?」
「それは潔く諦めるしかない。約束だからな」
「多分、宮脇さんは初めから、お前と付き合うつもりで来たと俺は思ったがなあ…」
「って、おたべさんが言ってたんだろ?」
「すべてお見通しか…やれやれ…」