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「いや!やめて!放して!」
 少女は叫んだ。椅子に座らされ真っ赤なロープで縛られていながらも、ひたすら叫んだ。
「だぁいじょうぶ。怖くなんかないよ。ただ、君の美しさが永遠になるだけ……いいねぇ、その表情…最高!」
 少女の前にはニンマリと笑う男。男の顔など見たくも無いというように目を瞑り泣き叫ぶ少女の頬に男は手を置いた。ゴツゴツとした手だ。所々にシミがある。指には煌びやかな金の指環が填めてある。男はその手を下へ動かす。赤らんでいる頬から白く細い首へ、首から肩へ、肩から胸へと指をなぞらせる。
「うふふ…良い脚だねぇ……やっぱり君は上玉だぁ」
 少女の太股に手を置き這うように動かすと、スカートのプリーツがクシャッと歪む。逃げられないと分かっていながらも脚をじたばたと動かし、男の手を退けようとする。少女の動きに合わせて椅子もガタガタと大きく揺れると、少女の回りにいた黒いスーツに身を包んだ男達が少女を押さえ付ける。
 それを見た途端、笑っていた男が大声を挙げた。
「おい!何汚ねぇ手で触ってんだよ!」
「も、申し訳ございません、しかし…」
「もっと丁寧に扱えと言っただろうが!聞いてなかったのか!……っと、ごめんねぇ、怖かったよね。痛くなかった?君は大切な商品だからねぇ」
 血相を変えていた男は少女を見ると元に戻り、再び身体に手を這わせた。
「…じゃあ、そろそろ良いかな?」
 そう言うと男はスーツの内ポケットから黒いケースを取り出した。中には液体の入った注射器。
 男は注射器のキャップを外し、少女に近付ける。
「いやぁ!やだ…いやだ、やめて!いやぁぁぁぁ!!」
 注射器と男の恍惚な笑顔を見た少女は今まで以上の大声を挙げ、泣き叫ぶ。
 男はその声を聞くと、待っていたかのように全身の毛が逆立ち、じわりと汗が滲み、目を大きく開き、口元が大きく動いた。
「だぁいじょうぶ!すぐにおわるからねぇ……フフフフ…」












 暫くして動かなくなった少女を見て男は言った。
「次の展示の時にこの子は紹介しましょう。他にはいないの?」
「それが、まだ素材が見つかっておりません」
 男は少女の元を離れ歩いていく。
 歩いた先には別の少女が立っていた。
 男はその少女に向かって話す。
「今回の子は良かったわ。最高。前の子もなかなかだった。ただ、まだまだ足りない!もっと沢山連れてきなさい!はやく!」
「………はい」
 感情に起伏のない少女の返事を聞くと男は再び歩きだした。
 その先には多くの動かなくなった少女達が等間隔に並べられていた。
 皆違う制服を着ていて、違うポーズで舞台に並べられている。迫り出した舞台には、先程の少女が並ぶであろうスペースが用意されていた。