大塚千尋小学一年生(六歳)、大塚美晴幼稚園年中さん(四歳)。
「頼む。この通りだ。」
光圀は妻莉乃に頭を下げていた。
「まぁ、そういう番組あるし、イオンのフードコートの注文止まりじゃ、恥ずかしいところはあるけど、天神までって遠いでしょ?」
早くて幼稚園児が始めている初めてのお使いとして、天神(HKT劇場)まで光圀が忘れ物をしたという設定で千尋、美晴に届けさせるというのが光圀のシナリオだ。
「忘れたのか?前に俺が忘れ物して、莉乃が届けてってことあったろ?」
「また、腰に手をあてて、千尋がここまで似たものね。」
光圀は、熱が入ると手を腰にあてて、喋る。
キッズコーナー(靴を脱いで入る子供の遊び場)で千尋に美晴のお守りを頼んで莉乃がトイレに行って戻ってきたとき、美晴の前で千尋が腰に手をあてている場面に遭遇した。
理由を聞くと、美晴が別の子とケンカを始めて、相手の子はそのお母さんが止め、千尋は美晴を止めて、その相手の親子は用事ができて帰ったが、美晴がまたケンカしないように監視とお説教をしていたところらしい。
「分かった。行かせよう。また光圀が忘れ物しても良いように。」
「問題は何を届けさせるかだけど。」
「決まっていないのね。」
まずは、忘れ物を何にするかかららしい。