母親は仕事で家を開けているので今日の夕食は自分で作る。
なんかないかなーと冷蔵庫をあさっていると携帯にメールが届いた。
俺は冷蔵庫を物色するのをやめメールを開いた。
またしてもゆりあからだった。今回は件名がない。
本文にはこう書いてあった。
“今日翔ちゃん、ぼっちなんでしょ?私とどっかにご飯食べに行こ?”
自分で作っても食べられるものが作れる自信もなかったので俺はゆりあに迎えに行く時間だけを伝え、自室に戻った。
20時40分。ゆりあに伝えた時間通りに俺は木崎家のインターホンを押した。
押すとほぼ同時にゆりあが家から出てきた。
服装は、胸元にレースをあしらっただけのシンプルな黒のワンピースを着ていた。
そしてまた俺はゆりあに見とれていた。
「翔ちゃん?どうしたの、そんなに私の事見つめちゃって」
「え?あ、いや、その、可愛いなーと思ってな」
最初の方以外は予想以上にすんなり言えた。
この言葉はゆりあに対し効果抜群だったらしく耳まで真っ赤に染めていた。
「な、なーんだ。私に惚れたわけじゃないんだ」
照れ隠しなのかなんなのか分からないがゆりあが言葉を返してきた。
「いや、そんなに可愛いと惚れちゃいそうだわ」
「ほんとに!?んじゃ付き合ってくれる?」
「えー、ゆりあがちゃんと告白してくれたらなー」
「そーゆうのは普通、男の子がするもんでしょ!?」
「別に俺から告ってもいいけど勇気が足りないと言いますか・・・」
「こんな会話している時点で十分に足りてると思いますけどね!ま、気長にまってますよー」
「だから、俺から告んないって・・・」
「いくじなしー」
「はいはい、俺は意気地なしですよ。それよりご飯ってどこで食べるの?」
「あー駅前のレストラン予約しといたよ。ってか普通こういうのは男の子がするんだよ?」
この数分で2度も男の子がするんだよ?を言われてしまった。なんか悔しい。
「じ、次回からは俺が予約します・・・」
「よろしい。それじゃれっつごー」
ゆりあが歩き始めた。
そして他愛もない話をしながらレストランへと向かった。