しばらく歩くと目的のレストランに着いた。
「え、翔ちゃん、こっちだよ?」
俺がレストランに入ろうとドアノブに手を伸ばした瞬間にゆりあに止められた。
ゆりあの指差す方向に顔を向けてみると、巨大なビルが立っていた。
「おい、こっちはあれだろ?セレブ限定みたいなとこだろ?高校生が入れるわけ・・・」
「それが入れちゃうんだよなー、この魔法のチケットで!」
ゆりあがそう言いながら取り出した”魔法のチケット”はこのレストランの招待券だった。
どうやらオープンしたての頃にゆりあの母親がキャンペーンに応募してその時にあたったものらしい。
「さすがっす、ゆりあさん」
「ふふんっ、まぁ当てたの私じゃないんだけどね」
「いいじゃんいいじゃん、行こうぜ」
そして見事に入口で止められた。
どうやら20歳未満の立ち入りは許されていない模様。
高校生の俺たちが入れるわけがなかった。
「いやー、まさか入口で止められるとはな・・・」
「ねぇねぇ翔ちゃん。ここに魔法の入口もあったりするんだよ?」
そういってゆりあはシェフ専用と書かれたドアをためらいなく開けた。
「いや、おい。どう見てもまずいだろそこから入るのは」
「えー、もうこの際気にしてられないじゃん?さっ、早く早く」
確かにその通りなので俺はゆりあの後に続いて中に潜入した。
「にしても、真っ暗だねー」
入って3分ほどたったころ。俺とゆりあは見事に迷子になっていた。
まさか入ってからずっと明かりすらついていないとは思っていなかった。
携帯の光を使うという事も考えたが、それではバレるという危険性があったので却下となった。
「これはもう壁にそって光のある方へ進むしかないんじゃないか?」
「そだねー、んじゃ翔ちゃん先頭ね」
「えっ、よりによって俺が前かよ。迷子なってもしらんぞ」
「いいよ、すでに迷子だしー」
そういってゆりあは笑った。
「んじゃとりあえずこっち行くか」
間違いなく20分は歩いた。
ようやく上の階へと繋がるであろうエレベーターにたどり着いた。
ここまで誰にも気づかれていないのは奇跡だろう。
すでに1階に止まっていたようで、ボタンを押すとすぐに扉が開いた。
ゆりあに何階かを聞き目的の階のボタンを押すと、エレベーターは上に向かって動き出した。