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「美味しそうだね」


運ばれてきた料理を見たゆりあは目をキラキラさせながらそう言った。


確かに美味しそうなのだが、この見栄えのチーズインハンバーグならそこらへんのレストランでも作れそうだ。

きっと味は格別なんだろうと思い、さっそくナイフを入れていく。


軽くナイフを押しただけで肉汁が溢れ出し香ばしい匂いが広がる。

そして、もう少し力を加えると簡単に切れて中からチーズがとろけ出てきた。


一口サイズに切ったハンバーグを口に運ぶ。

口の中で一気に肉の風味が広がり、その中でチーズが絶妙に入り込んでくる。


美味しい


普通にそう思った。

こんな味はそこら辺のリーズナブルなレストランでは食べられない。

流石は高級レストランといった所だ。




「翔ちゃん!やばくない?私こんな美味しいハンバーグ生まれて初めて食べたんだけど!」

ちょうど一口目を食べ終えたゆりあが興奮した子供のように言ってきた。


「やばいよな、もうこんな美味しいハンバーグ食べちゃったらリーズナブルなレストランで食べられないよな」


「もーほんとそれ!!でも、学生の間はお金ないしもうこんなところ来れないよねぇ」

ゆりあが残念そうに言った。

そもそも高校生でこんな所に来るほうが稀だろ。


「まぁでも?翔ちゃんが今年、全国制覇でもしたらゆりあが連れてきてあげてもいいよ?」


「ちょっと俺の事なめすぎじゃないですか?ゆりあさん?」


「さすがに一年で優勝しちゃうのは無理でしょ」


「俺、中学の時1年から優勝してたけど?」


「高校ではそう上手くは行かないって!」


「よーし、優勝してさっきの発言後悔させてやる」


「逆にできなかったら翔ちゃんが連れてきてね」


「えぇ…まぁいいよ優勝すればいい話だし」


「じゃー約束ね!!」




謎の賭けをし終わり、俺とゆりあはまた料理に手を付けていった。


ちょっと美味しすぎて途中はもう無言で食べ続けていた。