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「なんとなくは分かってるんだけど、翔ちゃんはゆりあの事どう思ってるの?今、この場所で正直に答えて」




いきなりの問いかけに上手く言葉が出ない。


以前の遊園地の件であやふやにしてしまっているの分かっているが


まさか今、その事を聞かれると思っていなかったからだ。




「な、なんだよ急に・・・」




「急にって事もないんじゃない?遊園地でも似たような事聞いたじゃん」



俺が言葉に詰まっているとゆりあは畳みかけるように言葉を続けてくる。




「ゆりあね、遊園地で翔ちゃんに告白したら付き合ってくれるの?って聞いたときに、うんって言ってくれてめっちゃ嬉しかったんだよ」




「でも、翔ちゃんにキチンと告白もしてないしされてもいない。こんな中途半端な関係、ゆりあは嫌だよ。」



確かに今日の一件で、俺とゆりあの関係はあやふやなものになってしまっている。


お互い好きって分かっているのに付き合っていない。そんな状態だ。




「だから、今日はっきりさせて。明日予定あるって言ったでしょ?実はある先輩に放課後呼ばれてるんだよね。きっと告白されるんじゃないかな、ゆりあかわいいし」




「ちょ、呼ばれてるって本気かよ?」




「うん、本気本気。だから早くしないとゆりあの事、取られちゃうよ?」



ゆりあは昔からこういった駆け引きは得意だ。嘘か真か、見分けがつかない。


でもすぐには言葉は出ない。確かに俺はゆりあが好きだし付き合いたいと思っている。




「分かった。でも今日は待ってくれないか?こんな流れで告白するよりきちんと告白させてくれ」




「わかった。でも期限は明日の朝一。朝一緒に登校してあげるから、その時に聞かせてね」



ゆりあは笑顔でそういった。ほんとにいつもは分かりやすいのに、こういう時は何を考えているのか全くだ。女性ってのはこんなもんなのか。


そんな事を考えていると、気づけばゆりあが隣にいない。




「翔ちゃん何してるのー?ぼーっとしてたらおいて帰っちゃうよ?」



そういってゆりあは駆け出していく。あいつほんと足はやいよな。


マネージャーより選手のほうが・・・



なんて考えていたらあっという間にゆりあの姿が消えてしまった。



俺は急いであとを追いかけた。