国内で新しいエネルギーとしてある種の海藻からバイオ燃料として使用できる成分が発見された。そのことにいち早く気が付いた松井製薬の社長、松井朋彦は本来、食物繊維の研究として使用目的だったその成分を、バイオ燃料として国内外に展開することに変更。会社名をネオ・バイオ社と変更し、バイオテクノロジー界への新規参入を行った。 新たなエネルギーを作り出した会社として一気に世界中から注目を浴びたネオ・バイオ社は半年にして、日本有数のトップ企業になるまでに進歩を遂げ、本社ビルを六本木の一等地に約30階建ての高層ビルに移設させ、バイオデータの流出を防ぐため、世界でもトップクラスのセキュリティシステムを導入。25階にあるセキュリティーセンターで、全ての管理を行っていた。
2017年6月17日 14時42分 ネオ・バイオ社・本社ビル
ビルの前に一台のバイクが停まった。運転していた男は、ヘルメットを外し、荷台から大きめの封筒と取り出すと、宛先を確認してから、ビルの中へと入っていった。
「こんちわー、バイク便でーす」
受付嬢に封筒を手渡し、男は近くの背もたれなしのソファーに腰を下ろした。発送先から本社ビルまでは首都高を通って、30分の距離だったため、足を休めていた。