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受付に通してもらい、バイク便の男はエレベーターに乗り込み、17階のロビーへとやってきた。

ここには社員専用の食堂や、休憩所などがあり、コーヒーの出店なんかもあった。

そこで待つようにと受取先の相手から支持された男は、ロビーの椅子に座り、相手の到着を待っていた。

そんな彼の近くで、出入りのコーヒーショップで働く爽やかな青年が一人いた。


「ありがとうございました!」


ネオ・バイオ社で働く者たちの憩いの場である、ピリラニ・コーヒーで働く棚村は飲み終えたコーヒーカップを片付けると、出店の中へ戻っていった。

そんな彼のもとに、また一人、新たな客がやってきたのだった。


「カプチーノのS、ちょうだい」

「かしこまりました!」


営業部の横山由依は、疲れ切った表情で、接待の鬱憤を棚村に吐き出しに来るのが、常のことだった。


「ねえ、聞いてよ。昨日の接待、最悪やってん。四軒はしごされて、最後にラーメンまで付き合わされてん。ひどくない?」

「へ~、何ラーメン食べたんですか?」


彼女は同情の言葉を期待していたのだが、予想外の素っ頓狂な返答に、呆れてかえっていた。


「あのさ、そこちゃうやろ、ふつう」

「えっ?」

「今の話で食い付く所、ラーメンやないやろ?」

「だって由依さん、ラーメン好きじゃないですか。こないだだってほら、つけ麺の話で盛り上がったし」

「別に毎回あなたとラーメンの話をしたいわけじゃないの!」


彼女の食い気味の応えに、棚村は申し訳なさそうに頭を軽く下げた。


「胃も疲れている。仕事続きで心も疲れている。そういう女性にかける気の利いた言葉っていうのがあるでしょうが」

「あれ、注文ってカフェラテのトールでしたっけ?」


全く話を聞いていない彼に、横山はしかめっ面で訂正をした。