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奏翔「出たよ~って寝てんじゃん。ったく…起きたら部屋行って寝なよ?」 

奏翔がお風呂から出てくると梨香は、リビングの机に伏せてねむっていた。こうやって見ると明日、敵同士として戦うなんて想像できないなと思った。

梨香の背中から優しくブランケットを掛けてやり出ていこうとすると不意に奏翔は腕を掴まれた。

梨香「今日は、ここで2人で寝よーよ。まえみたいにさ…
明日は、お互い敵だけど…今日くらいはいいでしょ…?」

梨香は、起きていたのか甘えたように言いながらもニコッと笑っていた。
考えることはやはり似ているということなのか、それとも起きていて奏翔の考えを見透かしていたのか分からなかったが、奏翔は姉である梨香の様子を見ると心からの笑顔を浮かべて梨香の向かいに座った。

奏翔「明日は、お互い頑張ろうね。僕達も負けるつもりは無いけど…初めての喧嘩って言うか…なんて言えばいいかわかんないけどさ?梨香姉おやすみ。」

梨香「喧嘩では無いでしょ?
だけど、うちらが敵同士って初めてだからドキドキしてるよ…
奏翔…おやすみ。また明日ね?」

お互いにおやすみを言えたことに安心していたのか、梨香はすぐに眠ってしまうと奏翔もそれに続くようにあくびをしてそのまま眠りについてしまった。

その後、しばらくして家に帰ってきた梨香と奏翔の両親が驚いたことも知らずに…

両親の2人はお互いに顔を見合わせこの微笑ましい光景を眺めてクスッと笑ったが、梨香のブランケットをかけ直して、奏翔に毛布を静かにかけると自分たちの寝室へと戻り文字通り、家族全員が眠りについたのだった。