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1st 黒羊高校女子バスケ部



友梨奈「うちだけが、自己紹介するのも変だから他のみんなの顔も見た方がいいのかも。
まだ、君が入部するって決まったわけじゃないんだからさ。」

友梨奈は静かに奏翔に微笑みかけると後ろを振り向いた。
友梨奈の後ろには他の部員たちが集まっていた。全員ではないのだろうが…

?「渡邉理佐…てちと同じ2年で同じクラス。」

自己紹介をした理佐は、奏翔を軽く睨みつけるとそのまま後ろに下がった。
その後ろには、理佐と同じように目つきの悪い女子学生が壁にもたれ腕を組んで立っていた。

?「私は、志田愛佳。学年とかは別にどうでもいいっしょ?」

理佐よりと、態度が悪いと感じたのは自分だけではないと奏翔も感じた。その理由は、友梨奈が静かながらも苦笑いしてたからだ。

友梨奈「もな…理佐も一応ちゃんと紹介したから、一応でいいからちゃんとしよ?」

友梨奈は、頬をかいて愛佳に言ったが、愛佳は何も言わずに友梨奈を見ると下を向いてしまった。

友梨奈「まぁ、あの2人はいつもあんな感じだから気にしなくていいよ。んで、今、入ってきたのが2年の中でも有名な居残りコンビと新しく入部した1年生の子だよ。」

友梨奈は、3人を見ると笑顔で手を上げた。
こうやって見ると友梨奈は、色んな表情をするなと思った。声をかけられた時はクールだったし、今こうやって話していると困った顔をしたり笑顔になったり、見ていて楽しい人だなと感じるように奏翔はなっていた。

?「あれ、この子が友梨奈が適当に声をかけた子?よろしくね♪
うちは、土生瑞穂。」

?「え、ほんとに適当なの?
友梨奈の冗談だと思ってた。
私は、鈴本美愉。瑞穂と同じクラスでいつもバカやってまーす。」

瑞穂と美愉の問いかけに困り顔で友梨奈が首を振るが、奏翔の冷たい目付きに気づくと

友梨奈「適当って言えば、適当だけど、適当じゃないって言えば適当じゃないからね?」

笑顔で誤魔化すように言った。

奏翔「それ、適当じゃないですか。誤魔化さないでくだいよ。」

奏翔が、真顔で突っ込むと友梨奈は目のやり場に困って静かに立っている1年生に声をかけた。
奏翔が、見た事があると思ったのは、確か同じクラスだからである。

?「小坂菜緒です。
たしか、加藤くんとは同じクラスだよね。多分?」

奏翔「あ、やっぱり。僕も見た事があると思ったから。」

奏翔の考えていたことは、当たっていた。
自分の後ろの席が菜緒だったから、覚えていたのだ。

友梨奈「ってことで、まぁ今日は入部する、しないは別として、今日は、うちらの練習だけでも見ていきなよ。」

友梨奈は、菜緒の紹介が終わると菜緒に笑いかけて奏翔に笑顔で言った。

愛佳、理佐は2人して真顔で奏翔を見ているし、美愉と瑞穂はその場に座り込んで2人で話して大きな笑い声を上げ、菜緒は静かに下を向いていた。

奏翔は心の中で入部する、しない以前にこんなメンバーでバスケができるのか?と呆れ果てていた。
みんな、バスケをするイメージが全く浮かばないからなのだが…