深山は一人、校舎内を歩いていた。火鍋たちに教えてもらったヒエラルキーの様子を気にかけながら、廊下を歩いていると二人組の二年生を見かけた。火鍋によると、彼女たちは二年生の中でも最強コンビといわれており、四天王の一人であるさくらの舎弟らしく、カミソリこと小嶋真子とゾンビこと大和田南那の二人であった。二人も普通の女子学生として過ごしていれば、恐らくすごく魅力的な女の子であったのは間違いないのだが、彼女たちも喧嘩に明け暮れる者であった。
「おい、なんだよジロジロ見やがって」
喧嘩をしていた彼女たちをぼおっと見ていると、視線に気づいたのかゾンビがこちらを睨みつけてきた。
「あっ、いや、なんでもない」
「こいつ知ってるぞ、確かさくらさんのクラスに来たとかいう教育実習生だ」
カミソリが同じように睨みながら、こちらに詰め寄ってきていた。
「えっと・・・、なに・・・?」
二人は互いを見て、ニコッと笑ってから、彼の腕を掴み、さらに校舎の奥へと引っ張っていった。
「お前をさくらさんに紹介する」
「はっ、なんで!?」
「いいから来い!」
強い力で引っ張られながら、深山はしぶしぶ彼女たちの後をついて行った。