文字サイズ:

出産(美優紀の場合)

私のお腹は大きくなった。

去年の写真と比べると一目瞭然。

優ちゃんとの子供がいる。

優ちゃんの為に私は一人で産むことにした。

妊娠してからのことは全部、ノートに日記として書いている。

誰がこの子のDNA上の父親なのかも書いてある。

子供の名前は皮肉が含まれているけど、ユウキにした。

優ちゃんのユウに私が美優紀だから、キを取った。

何も知らない人からしたら私の名前をいじっただけに思えるかも。

今日もユウキはお腹の中で元気に動いている。

嘘やろ!?

予定日、来週なのに。

ママ(人生の先輩)から聞いてはいたけどほんまに急にきたな。

タクシーを呼んで、少しずつ病院に向かって歩く。

もう少し待っててな。

ここで出ても、地面に、コンクリートに頭ゴチーンするだけやで。

タクシーに乗り込んで、私は病院に向かう。

ママと病院に連絡は入れてある。

陣痛の痛みと闘いながら、もう一つ連絡を入れようか迷う。

私の方が連絡先を替えた為に、連絡を取っていない人、ユウキのパパ、優ちゃんに。

でも、病院まであっという間で、私は携帯電話の電源を落とした。

一時間もしない内にユウキが産まれた。

この子と頑張って生活していくで。

「あれ?美優紀?」

「へ?」

私は妊娠発覚から京都に住んでいる。

知り合いにそうそう出会うことはないだろうと思っていたけど、会ってもうた。

「えっと?フランスパン?」

「誰の顔がフランスパンやねん。」

「冗談やって。彩ちゃんやろ?」

「やっぱりか。その子、桜井君との子供やろ?」

「なんでわかったん?」

「あんだけベッタリな二人が別れたら大体分かるわ。」

「こんな子持ちで良かったら拾ってくれる男に会える方に賭けてんねん。」

「桜井君。今でもあんたのこと好きみたいやで。」

「彩ちゃん。優ちゃんとどこに接点が?」

間違ってないはずや。

私達と同い年の彩ちゃんなら、高校は卒業したはず、まさか彩ちゃん・・・。

「私と桜井君。同じ会社の同期やねん。部署は違うけど。」

「彩。お待たせ。」

「②兄。紹介するわ。昔の同級生の」

「渡辺美優紀です。それと息子のユウキです。」

「彩の兄の②です。」

「彩ちゃん。新しい連絡先教えるわ。」

後で聞いた話。

一番上のお兄さんの結婚式で京都にきた彩ちゃんと再会したことで、私は②さんと出会った。

そして、②さんは私を拾ってくれた。