莉乃は千尋に母乳を飲ませながら、千尋がどっち似かを考えた。
この間見た光圀の写真からして自分に似ている気がする。
お腹がいっぱいになったせいか目が閉じていく千尋。
「千尋、ゲップしてから寝んねして。」
「ケプ」
「はい。おやすみ、千尋。」
千尋の寝顔を見て、莉乃の顔は綻んだ。
その後、暫く病室でゆっくりしている莉乃だった。
そこに訪問者がやってきた。
「莉乃。」
「お父さん、お母さん。お兄ちゃんまで。」
「いやぁ。孫の顔が早く見たくて。」
「莉乃。大変だったでしょう?」
「旦那さんは?」
「家にいるから、色々していると思うよ。御両親に報告したり、誰か来ても良いように掃除とか。」
「そういえば子供の名前は?まだ名付けていないなら・・・。」
「私達はメンバーの間で夫婦って結婚前から言われていたから、メンバーの名前から千尋にしたわ。それに本人が名付親だからね。」
「良い名前ね。」
「千尋。おじいちゃんとおばあちゃん、おじちゃんが来たよ。」
千尋は寝たままだった。
「抱っこして良いかな?」
「気をつけてよ。お父さん。」
千尋が祖父の腕に抱かれたとき、彼女の目が開いて、悲劇が起こった。
「えーん、えーん。」
千尋は泣き出してしまったのだ。
「お、おい。」
「お父さん。私が替わるわ。」
「すまん。」
祖父から祖母の手に渡ると千尋は泣き止んだ。
〇
本日最初の光圀登場である。
「莉乃。義父さん。義母さん。義兄さんもお久しぶりです。電話をいただけたらお迎えにあがりましたのに。」
「光圀君。堅苦しい挨拶はやめないか。」
「はい。」
光圀は莉乃に向き直った。
「莉乃。昨日大丈夫だったか?」
「別に変わらないけど。」
「そうか。千尋を抱っこさせてくれ。」
「はい。千尋、パパだよ。」
(わしらで散々泣いたんだ。光圀君も泣かれるはず。)
しかし、祖父の考えとは真逆のことが起こった。
「えー。」
千尋は泣き出すどころか、笑い出したのだ。
「千尋。おじいちゃん達に抱っこされたのか?」
「抱っこされて泣いちゃって。お母さんは大丈夫だったんだけど。」
「なぁ、光圀君。何かしてきたのか?」
「へ?いつも通り炊事、洗濯とか変わったことはしていないですけど。」
「ほとんど光圀がやってきたからね。」
(主夫親父でそっちの匂いを感じていたわけか。)
義兄はすごい分析力があった。
〇
その後も千尋はメンバーやスタッフに抱っこされたが、光圀以外の男性に泣き、女性に抱かれされると無反応だった。
『千尋は光圀を完全に父親として認知している。女性に無反応なのはちょっと悔しいな。』
ある日、莉乃がそんな日記をつけているのだった。