例のごとく、仕事を終えて光圀は自宅に帰った。
「只今。」
玄関の鍵を開けて、帰宅した旨を伝えたのに返事がなかった。
リビングに行っていない彼女達は仲良く寝室でお昼寝というよりはガチ寝をしていた。
光圀はカバンを置いて、エプロンをかけて、イクメンモードになった。
「千尋。只今。」
そっと千尋をベビーベッドに移す光圀はもう良いパパだ。
「風邪ひくぞ。」
莉乃にタオルケットをかけた光圀は、一瞬フリーズした。
「無防備すぎる莉乃が悪いんだ。・・・チュッ。」
光圀は莉乃に久しぶりの口付けをした。
「ママ。初めての子育て。お疲れ様。」
ねぎらいの言葉と共にもう一度口付けをする光圀。
その内心で何も起こってなくて良かったと思う半面、二人目をいつ頃作ろうかという複雑な思いを抱いていた。
二人の愛しい女性を起こさないようにそっと光圀はキッチンに向かった。
キッチンで料理をしていた光圀をびっくりさせたのは莉乃の声だった。
「千尋。千尋はどこ?」
光圀は火を止めて寝室に向かった。
「落ち着けよ。莉乃。」
「あっ、光圀。千尋はどこ?」
「寝返りをうってベッドから落ちられても困るからベビーベッドに俺が移動した。」
「良かった。」
「タオルケットかかっている時点で俺が帰っているって思わないのかよ。」
「今、何時?」
「時計くらい自分で読め。料理の途中なの忘れてた。」
無防備な莉乃と同じ空間にいると男の本能が暴走すると思って、光圀はキッチンにUターンした。
莉乃は千尋を抱っこして、愛しい旦那さんの元に向かった。