尿意を催し、茂みを探しているとプロデューサーを発見しました。どうやら彼も用を足しに来たようですが、様子が変です。
見てはいけないと思いつつ、物陰から様子を覗うと、股間の辺りを気にしている素振りでした。
何かあったのかしら。
私は目を凝らして見ました。するとプロデューサーはティッシュを畳んでペニスに巻きつけていました。
遠目からでも分かるほど、プロデューサーのペニスは小さいのが分かりました。きっと寒さもあるのでしょうが、元から小さいのでしょう。
その小さいペニスに巻きつけているティッシュの意味を考えた時、私はあることが思いつきました。
皮です。きっとペニスが小さいから皮が余ってしまうのだ。だからペニスにティッシュを巻きつけて皮をズル剥けの状態にしているんだ。
そう考えると、「鬼軍曹」と呼ばれ、周囲から怖れられている彼の秘密を知ってしまった気がして、悪戯心がムクムクと湧いて出ました。
「プロデューサー」
物陰から出て、名前を呼ぶと彼は飛び上がって驚きました。顔だけ振り返ると、私だと分かって慌ててペニスをしまおうとしました。
その拍子で結ぼうとしていたティッシュが落ちました。手を伸ばした彼よりも早く私の手が伸び、それを拾いました。
「何をしているんですか?」
わざとらしく私は訊きます。何をしていたか知っているけれど、彼の反応を見たかったのです。
「い、いや鼻を、そう、鼻をかんでいたんだ。いやぁ困るよね。こうも寒いと。鼻水が止まらないよ」
ごまかすように笑う彼に、私もクスリと笑いました。
「そうですね。でも鼻をかむのにティッシュをこんな風にするんですか?」
拾い上げたティッシュはどう見ても結べば輪になるようになっていました。これでは到底鼻をかめるとは思えません。
「そ、そうだよ。とにかく返しなさい」
いつも檄を飛ばしている声は明らかに上ずっていました。私の手からティッシュを奪い返そうとしますが、私の手は彼の手をヒラリとかわしました。
「これ、私見たことがある気がします。確か包茎リングのような役割を果たしために作られるんですよね。簡単に作れてすぐに捨てられるって。もしかしてPって包茎なんですか?
まさかですよね。大の大人が包茎でこんな物を作っているだなんて。いつもミスをしているあの子ですらズル剥けでしたよ」
もちろん嘘だ。私は彼のペニスなど見たことがない。
しかし目の前にいるプロデューサーは信じられないといった様子で愕然とした顔を見せていました。そう。まるでこの世の終わりだといわんばかりの顔で――。