「た、頼む誰にも言わないでくれ。黙っていてくれるのなら、もっと君に仕事を与えよう。そうだ。春から始まる新ドラマのヒロインにしてやってもいい。まだヒロインは決まっていないんだ。私の推薦を受ければ必ず出られるはずだ。な、悪い話じゃないだろ」
彼の口から出てきたのは、私の予想を上回るものでした。もちろん条件としては悪くありません。しかし――。
「つまらないわねぇ」
面白みにかけていました。仕事は勿論大事ですが、それよりも今目の前に面白いものがあるのです。
「そんな。君、分かっているのか。ヒロインだぞ、ヒロイン。そんじょそこら辺に転がっているB級ドラマじゃないんだぞ」
寒いはずなのに彼の顔は猿のように真っ赤でした。いつもなら自分の言うことは何でも従ってくれる人たちに囲まれているのです。
そんな中で私の発言はきっと彼にとって信じられないの一言だったでしょう。
「つまらないのよ。そんなの。それよりも、“コッチ”の方が面白くない?」
私は膝で彼の股間を指しました。慌てて振り返ったものですから、まだチャックは上げていないペニスがチョコンと社会の窓から顔を覗かせていました。
それはまるで洞穴から顔を見せるヘビのようです。皮の被った小さなヘビを見て、彼は慌ててチャックを上げようとしましたが、動揺してかなかなか上げられません。
「いいの? しまったらみんなに言い触らしちゃうわよ。『Pのチンコって包茎なんだぞ』って。『お子様チンコでみんなのこと怒っているなんてね』って、言い触らせばどうなるかしらね」
みるみるうちに、彼の顔が青ざめていきます。赤だったり青だったり、忙しない人です。
「や、止めてくれ。な、何でもするから」
「何でも? じゃあまずは小さいチンコをよく見せてよ」
「ぐっ……」っと声を漏らすと、彼は苦悶の顔を浮かべていましたが、やがて諦めたようにペニスを出しました。
「ズボンも脱いで。寒いけど我慢しなさい」
彼は私に言われるがまま、ズボンとパンツを下ろしました。
「小さっ」
彼のペニスは私の小指よりも小さくて、見事に皮を被っていました。
「よくもまあ、こんなみっともないチンコで人のことを怒れるわね。人のこと怒る前にチンコをどうにかしなさいよ」
そうです。彼のペニスを一言で表現するのなら『みっともない』という言葉がピッタリでした。
「はい……すいませんでした……」
寒さで縮こまったペニスのように、彼もまた縮こまってしまったようです。
「普段オナニーしているわよね? 今してみてよ」
「い、今ですか?」
「当然よ。ほら早く。あんまり遅いと私たちのことをみんな探しに来てくれて、Pが包茎だったのがバレちゃうわよ」
私の言葉に彼は項垂れると、ペニスをゆっくりと擦り始めました。
しかし分厚い皮で尿道すら見えません。
「すごい包茎ね。一度も剥いたことないの?」
「あ、あるよ。だけど今は寒くて縮こまっているだけだ」
「ふうん。ま、だからティッシュでズル剥けの状態にしていたんだろうけど」
思えば、縮こまるペニスに巻きつけていたティッシュが解けてそれを直しに来たのだろう。まさか私に見つかるとは思いもしなかったはずだ。
そう考えると、あの彼に怒っていた時もティッシュを巻きつけていたのだと思うと、笑いが止まりませんでした。
「わ、笑うなよ」
ペニスを擦っていると、変化が見られました。わずかに大きくなったのです。もちろん、皮は被ったままです。
「もしかして勃起してる?」
「し、してるよ。まだ三割ぐらいだけど」
女性が胸をパットで覆うように、どうも男性というのはペニスの大きさを気にする生き物のようです。お互い見栄を張るのは、人としての性なのでしょうね。
「ふうん。じゃあ完全に勃起させてあげようか。この場で寝転んで」
「この場で?」
「そうよ。早く」
訝しげな表情をしながらも、彼は素直に従ってくれました。
「ちょうどトイレに行きたかったのよ。あんたの後輩が壊してくれたせいで、なかなか行きづらくなっちゃったけど」
彼を足の間に挟むようにすると、私はズボンとショーツを下ろしました。ペニスに当たるよう、屈みながら調整をすると勢いよく尿を放出しました。
「わわっ! 何をするんだ!」
「見ての通りよ」
シャーッと音を立てて排出される尿は、ペニスを濡らします。
「ふう。スッキリした。これで勃起したでしょ」
尿を出し終え、改めて彼の下半身を見ると、ビシャビシャに濡れて湯気が立っていました。
「で、ペニスは完全に勃起したかしら。まさかこれが限界じゃないわよね」
どう見ても先ほどと変わらないように見えます。
「畜生……畜生……うっ」
短く呻くと、ペニスがビクンと跳ねました。しかし皮で覆われたペニスからは精液は見えませんでした。
「バカみたい」
私は鼻で笑うと、ポケットティッシュで自分の股間を拭き、彼に投げ捨ててその場から立ち去りました。
彼が撮影現場に現れたのは、それから数十分が経った頃で、目が赤く充血していました。「道に迷って、寒さで目が痛い」と言う彼に私はクスリと笑うと、「体調が悪い」と言ってロケバスの中に引っ込んでしまいました。
その後の撮影でも彼は結局ロケバスから出てこず、撮影は穏やかに終わりました。