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~現在~

札幌栄転の準備をしながら荷物の整理をするなかで、咲良の持ち物は20年前で時間が止まっている。

衣類、靴等は既に実家に送り届けてある。

「ん?これは…」

俊太郎は木箱を手に取り、蓋を開ける。

中身は、俊太郎が咲良に宛てた何通ものラブレターだった。

「取っておいてくれたのか…」

懐かしさに微笑む俊太郎。


~20数年前~

マジ女のラッパッパ。

「しっかし有り得ない展開だよな、ヨガ。まさか、魔素羅尾の総番がうちのテッペンに抗争中に告るなんてな」

マジックが何故か嬉しそう。

「副番はおたべに告るし…なにやってんだかな…」

ヨガは呆れている。

「意外と、満更でもないんじゃねえの?あの二人」

「さあね…興味ない…」

そこに、ウオノメがニヤニヤしながら現れた。

「どうした、ウオノメ。気持ちわりいな」

「テッペンとおたべさんは?」

「上(屋上)だろ。何なんだよ、ニヤニヤして、気持ちわりい奴だな」

「これっすよ、これ」

ウオノメが何かをチラチラさせている。

「なんだそれ」

「ラブレターっすよ、多分」

「ラブレター×2!?」

マジックとヨガがハモる。

「誰に?」

「テッペンとおたべさんに決まってるじゃないっすか!魔素羅尾のあの二人からっす」

「今どきラブレターかよ。アナログだね」

「メアドもLINEも知らないからだろう」

「正門で魔素羅尾のパシリに渡されたんすよ」

「マジなのか?あの二人…」