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隣県の複合型商業施設でダブルデートを満喫するさくら達。

食事に、カラオケ、ボーリング。

そして、ゲームセンターにやって来た。

「しかし、雄ちゃんはカラオケもボーリングも下手やったなあ?別れようか?」

「か、勘弁してよー、由依さん」

「なら、クロ。あれで、汚名返上だろ?」

俊太郎はUFOキャッチャーを指さした。

「おおう!」

「おたべさん、クロはUFOキャッチャーはプロ級ですよ」

「ほんまに?UFOキャッチャーにプロってあるんや?」

「由依さん、好きなぬいぐるみ、捕ってあげますよ?どれがいいですか?」

「んー…なら、あれやな、あのネコのぬいぐるみ」

「OK、任せとけ………」

「あんなの、捕れるのか?俊太郎」

さくらが怪訝そうに尋ねる。

「俺は3回くらいでいけます…クロなら…」

しばらく、ケースを四方八方から眺めていた黒崎。

「2回…2回で捕れる!」

「ホンマか?雄ちゃん。うちには全然捕れそうにみえん」

「あたしもだ。あんなの捕れる訳がない…と思う…」

俊太郎と黒崎が不敵に笑う。

「なんや、男同士でニヤニヤして、気色悪いな」

「じゃあ由依さん、もし2回でキャッチできたら…」

黒崎がおたべに耳打ちする。

「え?そ、そやなぁ…2回で捕れたらな…ええよ」

「よっしゃ!」

「???」

「クロのやつ…じゃあ、さくらさん、さくらさんはどれがいいですか?」

「あ、あたし?いや、あたしは…その…」

「さくら、いけずなこと言ったらいかんよ?とってもらい」

「…ならあれ…あのクマだ…」

「了解」

黒崎は完璧な操作で、本当に2回で、ぬいぐるみをゲットした。

これには、さくらやおたべ、そして、いつの間にかできていたやじうまから感嘆と歓声が起きた。

「凄いやんかぁ、雄ちゃん!」

「はい、由依さん」

黒崎はドヤ顔でおたべにぬいぐるみを手渡した。

「ありがとう!」

そして、今度はおたべが黒崎に囁いた。

「ご褒美は後でな?」

そして、俊太郎。

さくらの欲しいぬいぐるみもなかなか難しい場所にある。

「どうだ?クロ…あれは」

「1回でイケる」

「う~ん…」

腕組みして唸る俊太郎。

おたべがさくらに囁く。

「さくら、俊ちゃんが1回でキャッチ出来たら、ご褒美あげな」

「ご褒美?何をですか?」

「そやなぁ…例えば…ゴニョゴニョ…」

「な!?何言ってるんですか!おたべさん!そんなの…」

「雄ちゃん、1回で行けんのやろ?」

「俺は1回でいけますけど、俊はどうかな?2回…3回かなぁ」

おたべがおもむろに

「俊ちゃん、1回でキャッチしたら、さくらがキスしてもいいらしいで?」

「ちょ、ちょっと!おたべさん!」

狼狽えるさくらに、冷やかす野次馬。

「どうでしょう?さくらさん?」

「どうでしょうって…そんなの…」

場の雰囲気的にとても断れそうもない。

「勝手にしろ!」

「おし!!」

さくらがおたべに恨めしげな視線を向ける。

しれっとそっぽを向くおたべ。

散々試行錯誤して、野次馬の歓声をうけ、俊太郎は1回でキャッチした。

「おっしゃあああああ!ゲットだぜ!」

「やりやがった…」

さくらは複雑な顔で、俊太郎からクマのぬいぐるみを受けとる。