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~屋上~

屋上から外を眺めている、咲良とおたべ。

「何考えてる?咲良」

「おたべさんは?」

「聞いてるのはうちやろ」

「別に…何も…」

「何もなわけないやろ。満更でもないんやろ?」

「おたべさんは?」

「うちは、色恋沙汰には興味ないねん…」

「私もですよ…おたべさん」

「嘘が下手やな、咲良」

「おたべさんこそ…」


「あ、いたいた!テッペン!おたべさん!」

「なんや、ウオノメ!騒がしい」

「へっへへー」

「なんだ、ウオノメ…気味悪いぞ…」

「お二人にぃ…ラブレター預かってきましたよっ!えへへ」

そういって、ウオノメは預かったラブレターを二人に渡す。

「確かに渡しましたからねー」

ウオノメは足早に去っていく。

二人は視線を合わせた後、お互いにそっぽを向いて、渡されたラブレターを読む。

咲良にとって初めてのラブレター。

小栗俊太郎のラブレターの文面は誤字だらけだったが、俊太郎のマジは伝わってきた。

「はぁ…」溜め息をつく咲良。

「何溜め息ついてん、咲良」

「誤字だらけで読みにくいなって…」

「ヤンキーやからな、仕方ないやろ」

「おたべさんは?なんて書いてあったんですか?」

「あほ、言えるかいな、そんな事」

笑顔であることから、おたべは満更でもないようだった。

「おたべさん…これってやっぱり、返事しないとまずいですかね?」

「ん?うちはせえへんよ」

「しないんですか!?」

「こんな手紙1通くらいで堕ちるほどうちは尻軽オンナやない」

「そういうことじゃないんですけど…おたべさん」