「咲良さん、ど、どうしてここに!?あーびっくりしたぁ…」
咲良は厳しい表情を崩さずに
「もう手紙はくれなくていい」
「え!?」
「誤字とひらがなが多くて、読みにくい…私の名前も間違えてるし」
ガクッと項垂れる俊太郎。
「でも、あんたのマジは伝わったよ、小栗俊太郎」
「……じゃあ?」
「付き合ってやる…」
俊太郎が喜ぼうとするのを、制止する咲良。
「ただし、条件を2つ飲めるなら…だ」
「条件!?飲む!飲みます!毒でも何でも、咲良さんが飲めと言うなら!」
「まず1つ目…私とタイマンで勝負しろ。私に勝ったら付き合ってやる」
「えっ…それは…」
「私はヤンキーだ。そしてマジ女のテッペン張ってる。自分より弱いオトコとは付き合えない。あんただって、魔素羅尾の総番張ってるんだ、彼女が自分より強くていいのか?」
「そ、それはそうですけど、咲良さん…女の子を殴るのは…」
「そうか…ならいい…」
咲良は踵を返した。
「わああ!待って下さい、咲良さん…」
「やるのか?やらないのか?どっちだ?」
「やる!やってやる…けど…」
「けど…なんだ?」
「本当に俺は女の子は殴りたくない。まして咲良さんを…」
「だったらどうする」
「初めに一発、拳でも蹴りでも何でも、先に当てたほうが勝ち。これでどうです?咲良さん…これで駄目なら、諦める。惚れたオンナを何発も殴る蹴るなんて絶対に出来ないし、惚れたオンナに負けるっていうのも嫌だし…」
「………わかった、それでいい…」
小栗はホッと胸を撫で下ろす。
「2つ目は…何です?」
「仮に、お前が私に勝ったとして…私はお前の事は殆ど知らない。今は好きでも嫌いでもない。だから、付き合って、小栗俊太郎をわかって、嫌いになったら、別れる」
「なんだ…そんな事か…咲良さん、それは当たり前ですよ…まあ、俺は咲良さんを嫌いにはなりません、自信あります」
「お前だって私のこと何も知らないだろ…」
「知ったらますます惚れます。間違いない」