約束の日曜日、マジ女の裏門。
さくらが裏門にやって来ると既におたべが待っていた。
「ちゃんと来たな、さくら」
「約束ですから…」
さくらは淡いブルーのワンピース姿。
「やっぱり、超絶カワイイなあ、さくら。小栗が惚れるのも無理ないわ」
かくいうおたべも、化粧をして、ギンガムチェックのトレーナーにジーンズという格好。
少なくとも、女子高生には見えない。
「なんや、さくら。何か言いたそうやな?」
「別に…」
「まあええわ。そろそろ来る頃やな」
程無くして、爆音を響かせて、2台のバイクが走って来た。
バイクがさくらとおたべの前で停まり、ライダーがヘルメットを取る。
「お待たせ、由依さん!」
「待ってないで。今来たとこや」
「おはようございます…さくらさん…」
「おはよう…」
「なーんや、他人行儀やなぁ?緊張してんのかいな?らしくないで、さくら」
「緊張してませんよ…」
黒崎がおたべにヘルメットを渡す。
同じく、俊太郎がさくらに。
「雄ちゃんの家はな、バイク屋や。な?」
「はい。このバイクと俊のは、俺のオヤジがポンコツのバイクをレストアして乗れる様にしてくれたんですよ、年代物らしいんだけど、新車同然なんです」
「かっこええやろ?」
「いや、それほどでも」
「雄ちゃんやない、バイクがや」
「そこはどっちもって言ってよ、由依さん」
「ああ、そうやなぁ…」
「ひでぇ…」
「さくらさん、今日はよろしく。さ、乗って下さい」
「あ、ああ…」
「由依さんも乗って乗って」
「どこ行くん?」
「秘密です。俺達に任せて下さい」
「変なところ行ったら承知せえへんでー?雄ちゃん」
楽しそうな、黒崎とおたべを尻目に、さくらはぎこちなく、俊太郎のバイクの後部に跨がる。
「さくら、こうやって、抱きついたらええねんよ」
戸惑いながら、おたべと同じように、俊太郎に抱きついた。
「オッケー、行こうぜ!俊」
「おし、さくらさん、しっかり掴まってて」
さくらとおたべを乗せた2台のバイクが再び、爆音を響かせて走り出した。