それぞれさくらとおたべを乗せて、目的地へ走る。
俊太郎と黒崎が何処へ向かっているのかわからない二人。
信号で停まったとき、さくらは俊太郎に尋ねた。
「思ったより、安全運転だな…」
「当たり前じゃないですか。自分の他に、大事な命乗せてるんですから…」
「………」
「もう少しですよ、さくらさん」
「気持ちええなあ?雄ちゃん」
「でしょう?さあ、行きますよー!由依さん」
更にバイクはひた走る。
目的地は、隣県に出来たばかりの、複合型商業施設だった。
「さあ、着きましたよ、さくらさん、おたべさん」
「ああ、ここか…一度来たかったんや。でっかいとこやなあ」
「ここなら、俺たちを知ってる連中はまずいないし、食事、買い物、遊び、何でもありますから」
「そうやなぁ…うちら結構有名やし。ここなら、ゆっくりできそうやな、な?さくら」
「は、はい」
「なーんや緊張してん?さくら」
「そんな事ないですよ」
「さあ、由依さん、さくらさん、今日は、俺と俊のおごりでガンガン楽しみましょう」
「え?おごりって、それはダメだ。自分の分は自分で出すよ」
「まあ、今日は記念やし、おごってもらおう?な?さくら」
「ちょっと、おたべさん…」
「さくら…こういう時は、男子の顔を立てるんや」
おたべがさくらに耳打ちした。
「でも…」
「さ、いこか?」
と、おたべが不意に、俊太郎とさくらの手を繋がせた。
「ちょ、ちょっと、おたべさん!」
「デートなんやから、手くらい繋がんと」
そういうおたべは黒崎と腕を組んでいる。
「おたべさん…キャラ変わりましたね…」
「変わっとらんよ?うちはこんなんや」
都内屈指のヤンキー校の魔素羅尾高校の総番に副番、マジ女のテッペンと四天王筆頭のダブルデート。
勿論、このまま、何もなく終わる訳がない…四人のヤンキーの磁場に事件が引き寄せられてくる。