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魔素羅尾高校の総番、小栗俊太郎は、マジ女のテッペン宮脇咲良に一目惚れした。

同じく、親友でナンバー2のクロこと黒崎雄介はおたべを好きになった。

俊太郎は、タイマン勝負を受けた咲良に意外な返答を返す。

「咲良さん、俺はあなたに惚れた!」

「え!?」

魔素羅尾、マジ女のヤンキー達がずっこける。

「惚れたオンナは殴れない…そもそも、オンナは殴れない!」

「何言ってるんだ?お前」

「咲良さん、俺と付き合って下さい!」

「はぁ!?」


~20年前~

寝ているように横たわる、冷たくなった咲良。

まだ、咲良が亡くなった事実を受け止められない俊太郎は、咲良の髪の毛を撫でる。

朝、何時ものように、見送ってくれた咲良が何でここで寝ているのか?

夢?

そうだ、これ、夢か…

「咲良!?うそやろ?咲良!」

遠くで、おたべの声がする。

「咲良ぁぁぁ!何でなん!なあ…朝、赤ちゃんできたて、連絡くれたやろ?なあ!咲良ぁぁぁ…わああああ…」

おたべが咲良にすがり付いて号泣する。

「俊…」

黒崎雄介、クロも来たようだった。

端から見ると、俊太郎は冷静に、亡き妻咲良を見下ろしているように見えただろう。

泣くでもなく、取り乱すでもない。

「(クロに、おたべさんか…何でここに?)」

俊太郎の父が、クロに事情を説明している。

「(由依だって、同じ事をしただろうな…)誰も悪くないのに…何で咲良さんだけ…」

おたべの悲痛な号泣が霊安室に響く。