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 外は陽炎(かげろう)が揺らめいていてとても暑そうだ。ニュースでは連日の猛暑を大々的に伝えている。今年の夏は例年に比べ暑い日が続いていた。

 この国はいつから亜熱帯へと変わったのだろうか。奥野正義は麦茶を一口飲んだ。氷はすっかりと溶けていた。先ほど入れたばかりだというのに。

 エアコンの効いた室内であっても、氷の溶けるスピードは異常だった。カーテンを閉めているが、よく日が差す部屋だった。こんなことならば、もっと引越し先を慎重に決めればよかった。“あの女”がここを気に入ってしまったのが運の尽きだった。


 所詮飼い犬のくせに。正義が麦茶をグッと飲み干すと、部屋の扉がゆっくりと開かれた。


「おお。似合っているじゃないか」


 水着を着た少女だった。豊満な胸を揺らしながら嬉しそうな顔で正義に近付いてくる。


「えへへ。でしょ、でしょ」


 子犬を思わせるような人懐こい笑みで近付いてきた少女の胸を揉んだ。


「こんなデカパイになりやがって」


「あん。せんせーが毎日揉むからでしょ」


 正義は二ヤっと笑って見せた。中学時代から発育のいい身体をしていたが、高校生になりますます成長を遂げているようだ。


「そうかもな。でも、柊だって元からいい身体をしていたぜ」


 指に力を込めると、胸はぐにゃりと形を変えた。ただ豊満なだけではない。柔らかさがあるところが好きだった。

 そう。正義に胸を揉まれている少女こそが、かつての教え子である薮下柊だった。中学三年生で肉体関係を持って以降、二人の関係は続いていた。


「もう。せんせーはほんまエッチなんやから」


 胸を揉まれながら柊は嬉しそうな顔を見せた。毎日のように愛撫しているが、一向に飽きが来ないのは彼女の身体がまだまだ成長を見せているからだった。


「せっかくだから挟んでくれよ。新しい水着を着たままで」


「えー。汚れちゃうって」


「その時は洗濯すればいい。ほら、早く」


 正義は腰を浮かせ、ボクサーパンツごとハーフパンツを脱いだ。ペニスはすでに勃起していた。柊の身体をペニスに近付けようとした。


「もう。分かったって」


 勃起したペニスが柔らかな感覚に包まれる。高校生の柊の肌はしっとりとしていて、ハリがあった。そこに似つかわしくない赤黒いペニスが添えられる。

 柊は正義のペニスを胸で挟み込むと、唾液を垂らした。ローションの役目を果たす形となった唾液をヌチャヌチャと音を立たせながら柊はペニスを胸で愛撫する。


「いいぞ。だいぶ上手くなったな」


「えへへ。柊はやれば出来る子なんです。せんせーも知ってるでしょ」


 まだ中学校の教諭を務める正義と通信制の高校に通う柊とはもう直接的な教諭と教え子の関係ではなかった。しかし柊は二人きりでいる時、正義のことを「せんせー」と呼ぶ。同棲を始めてからもう半年近く経つというのに、この呼び名は不変だった。


「そうだな。ご褒美にミルクをやるよ。熱くて粘っこい」


「飲まなきゃダメ? 柊、あれ苦いから嫌い」


 一旦胸からペニスを離すと、尿道の部分を乳首で擦った。カウパーが乳首を濡らした。


「顔にぶっかけてもいいし、口の中に出すのも悪くないな」


 何もない休日の朝のように、正義はどこでもよかった。顔でも口の中でも膣の中でも。ただ、ピルはまだ残っていただろうか。昨夜使い切ってしまったような覚えがある。

 正義は避妊具を付けるのが嫌いだった。ゴム臭いのが気に入らなかった。わざわざ避妊具はコンドームでなくともピルがある。むしろピルの方が生理を安定させてくれるから、正義はそれを重宝した。


「顔も汚れるからなぁ。ネバネバして青臭いし」


 尿道を円を描くようにして愛撫していた柊の後頭部に手を置いた。


「うるせえな。俺が出したいタイミングで出すからお前は黙って愛撫していればいいんだよ」


「んぐぅ!」


 柊の後頭部を引き寄せると、ペニスを口の中へ入れた。きっと喉奥まで入ったことだろう。ヒューヒューと音が聞こえた。

 そのまま正義は柊の後頭部に手を置いたまま、前後に振った。ペニスがザラザラとした感覚に包まれる。調教の甲斐あって、歯が当たることはなかった。


「出そうだ」


 柊の苦しそうな声を聞いていると、やがて射精感が訪れた。躊躇(ためら)うことなく、正義は口の中で射精した。


「んぶぅう!」


「豚か、お前は」


 せせら笑いを浮かべながら正義は手を離した。ペニスは外気に触れる。

 顔を上げた柊の顔は不細工だった。フグのように頬を膨らませ、目元を真っ赤にしている。唇から唾液と精液が漏れ出て、顎を濡らしている。


「飲め」


 正義は口角を上げながら命令した。柊は一瞬目を見開いたが、すぐに諦めたように目を閉じ、喉を鳴らした。


「美味いか」


「はい。おいしゅうございました」


 柊だけに『おい“しゅう”』か。なかなかに面白いギャグだ。言った張本人は自分がギャグを言った自覚がないのが、ことさら面白かった。


「じゃあ最後まで味わえ」


「はい」


 尿道に残った精液を柊はチュウっと音を立てて吸った。カリ首や玉まで綺麗に舐め取っていく。


「すっかりと様になったな」


 誰にともなく、呟くように言った。


「はい」


 機械のような声が聞こえた。留守番電話へと転送するような女の声。正義はふと窓の向こうを見た。

 空がとても高く見えた。透き通るような青い空に浮かぶ雲の峰から飛行機が飛び出して来た。


「まだまだ暑くなりそうだな」


 どこまでも夏の空は続いていた。柊からの返事はない。ペニスを舐めていた舌の感触もない。

 正義は視線を戻した。柊は買ってやったばかりの水着を脱いで自慰をしていた。