俺が中学2年の時の話なんだけど、いつもクラスで一人で寂しそうに行動する子が居たんだ。
子供の目から見ても整った顔立ちで、儚げなタイプ。
ただ父親が蒸発しただとか、母親がその子を育てるために
スナックに勤めてるとかのしょーもない事と、その子が人に積極的に
話しかけられないタイプだったから、いつも寂しそうに一人でご飯を食べたりしてる姿が印象的だった。
俺の学校は中学なのに制服じゃなくて私服の学校だったんだけど、
男から見てもその子の着てる服のレパートリーが少ないように見えたのも、
同性から馬鹿にされてた原因の一つだと思う。
俺はその子を避けてるつもりはなかったけど、そもそもそんな女の子じゃなくても
気軽に異性に声を掛けられる年代じゃなかったから、可哀想だなって思ってたんだ。
ただある日、ホームルームで家庭訪問の話題になったときに、
女子の一人が片親の彼女をからかうような発言をしたから、
思わず抗議の意味で立ち上がってそいつを睨んだんだ
まぁヘタレな俺だから何も発言はできずにずっと睨んでるだけだったんだけど、
一応その話題はそれで打ち切りになった。
そのときの彼女の嬉しそうな顔は、まだ記憶に残っている。
ただ、その時から、彼女が俺に懐きはじめた。
それからというもの、移動教室の時に一緒に教室まで行こうとか、
何かペアを作るような授業の時に一緒になろうって、声を掛けてくる。
こんな可愛い子が懐いてくれるのは凄い嬉しかったんだけど、男友達は妙に冷やかしてくるわ、
女連中は影口叩いてるのがありありと分かるわで妙に気が気でなくなってくる。
そんなこんなで一週間ぐらいそんな状態が続いた後、
体育で柔軟体操を一緒にやろうって言われたんだ。
そりゃ、女の子と柔軟なんて色々触ったらりくっついたりできるチャンスだしやりたいかったけど、
恥ずかしさと周りの目が気になって、断ったんだ。
それも、恥ずかしさもあってつい過剰にもう誘うな、そんなに一緒なのはおかしいだろって。
彼女はショックを受けた感じで、寂しそうに目を伏せて俺から離れていって、
一人で柔軟をやり始めたんだ。
その時に謝るべきとは思ったんだが、謝る言葉もタイミングも掴めず、
それからまたずっと一人で行動する日々が続く彼女を横目に眺めてたりしたんだ。
そんな元通りの日々になって4日後、放課後の部活が終わった時。
いつもは部室で着替えて直接帰るんだけど、部活中に教室に体操着を忘れ物したのを思い出して
(部活はユニフォーム)教室に戻ったんだ。
そうしたら、校舎の中も誰も居ないような時間帯なのに教室の前に行くと
教室の中からカタカタと、くぐもった声がする。
というか、聞き間違いかもしれないがどうもその声は俺の名前を呼んでるような感じだ。
何か不審に思ったんで、ドアを開ける前にそっとドアの隙間から中を見てみる…と
例の彼女が教室の窓際の方で白い布を片手で口に当てながら、
もう片手が机を掴みながら体を押し当て、揺らしている。
…どうやら話に聞く机の角でオナニーというやつだ。
それも俺の机で。というか、あの布は俺の体操着じゃないか?
見なかったことにして帰っても良かった。
いや、彼女の事を思ったらそうするべきだったんだろう。
けど、気付いたときには体が扉を開けていた。
突然開いた扉にはっと手にしていた体操着を机に置き、立ち尽くす彼女。
見られたのがよりにもよって俺というのが、普通に考えたら彼女にとって幸いだっただろう。
他の奴らならクラスに言いふらしたり、代わりに何を要求するかわからない。
が、今の彼女にそう考える余裕もあるはずもない。見てて気の毒になるぐらいの狼狽ぶりで
「ち、ち、違うんです、わ、忘れ物を取りに来たら…その、体操着が置いてあるのが見えて、
その、Tくんに届けなきゃって思って、で、でも私嫌われてるから・・・だから、あの、その」
と弁解を始める。
まぁ、状況の言い訳にすらなってないことは彼女にも分かったんだろう。
その場にへたり込んで、ごめんなさい、ごめんなさいと呟くだけになったんだ。
そんな彼女を見て、俺は…保護欲の歪んだものだろうか、
こいつを俺だけが独占して、俺だけが苛めたい。
そう、思うようになってきた。
「何をここでしてたの?」
と、分かりきった質問をする俺
「ごめんなさい、ごめんなさい」
へたりこんで顔を覆い、首を横に振って謝罪するのが精一杯なその子。
「ごめんじゃなくて、何をしてたの?」
わざとらしく彼女が押し付けていた机の角を指でなぞっているのを見せつけ、執拗に質問を重ねる。
指先から、机に少し湿り気があるのがわかった。
「その…一人で、してました」
背中にゾクゾクっとしたものが走る。
やばい、この感覚、止められない。
「何をしてたの?俺の体操着の匂いを嗅ぎながら」
普段の俺と全く違う執拗さに、彼女が俺を見る。
俺が何を求めているのか、少し分かったかもしれない。
「ぉ、お、おなにーを…してました。Tくんの事を考えながら…。
Tくんの体操着の匂いを嗅いでみたら、止まらなくなって…。
気持ちよくて、頭の中がぼーっとして、やめなきゃと思っててもやめられなくて…」
心の内を話し始める彼女に、ゾクゾク感が止まらない。俺の分身は先ほどからボルテージがMAXに
到達している。