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男目線 泥酔の俺を拾ってくれた亜矢子 3

すると亜矢子が突然意を決したように 
「太郎くん、舐めさせて?」 
「ほへ?」 
「ダメ?」 
「なっ、何をですか?」 
「さっきから見えてる太郎くんのオティンティン」 
下を向いたら、俺の愚息がこんにちは、いや初めまして状態だった。お前もかマイサン。 
まだまだガキだったんだなー俺、恥ずかしくて 
「ちょちょちょ・・・」 
と訳のわからないことを言いながら、バスタオルで隠そうとすると、 
「私、好きな人にいっぱいいじめられていっぱいつくしたいの。そんな自分を想像しただけで感じちゃう。ただ今までは想像だけで・・・。 
思い切って彼にそのことを告白して一緒にと思ってたんだけど、彼はそんなのはイヤだって。 
それからは彼に抱かれても気持ちよくなくて、お互い心まで離れていっちゃって・・・。 
ずっと会って無かったんだけど、このまま消滅するのはイヤだったから、今日会ってハッキリとさよならしてきたんだ。彼の嫌いな厚化粧して」 
そんな話しを聞かされても、俺は気が動転している。 
「だから俺もノーマルだし、好きな人って?俺?何故に?今日会ったばっ・・・」 
「お願い、私、会ったばかりだけど太郎くんのこと好きになりそう。太郎くんは私みたいな年上の女性は嫌い?普通の女の子の方がいい?」 
「そんな、亜矢子さんははかわいいし、ただ俺頭の中ゴチャゴチャしてて」 
亜矢子は立ち上がり、引き出しから本を数冊取りだして俺に手渡した。 
SM関係の写真や小説だった。中には縛り方の解説や、どうすれば辱められるかとか、そんなことが書いてあった。 
以前にもこの種の雑誌は見たことはあるが、その時は俺とは関係ない世界のように感じてた。

しばらくの沈黙の後 
「どう?」 
亜矢子が聞いてくる。 
どうと言われても、愚息はOKだが、どうにも状況を理解できない。 
「私、こんな事ばっかり考えてる。こうされたいって願いがあるの」 
夢中で本に見はまっている俺に亜矢子は切り出した。 
「さっきも言ったけど、私好きな人としかしたくないの。」 
うん、それは聞いた。 
「太郎くん、私と付き合ってみない?太郎くんなら私のことわかってくれそうな気がする」 
ウソでしょ?なんでそんな急展開に?ただ新宿でぶつかっただけなのに?これって夢?そりゃいろいろ話しはしたけど、初対面で理解しろって?その時はそんな感じでした。 
目の前に広がる不思議な世界の雑誌をパラパラとめくりながら、頭の中では高速に俺と亜矢子とかおりが回転している。

「俺は今彼女がいるし、彼女のこと好きだから今は答えが出せない」 
「そう・・・」 
亜矢子は悲しそうにうつむいた。俺は言葉をかけることさえ出来なかった。 
「帰ります」 
そう言って立ち上がったはいいが、服は洗濯機の中。 
「あっゴメン。近くのランドリーで乾燥してくるから待ってて」 
そう言った亜矢子の目にはうっすらと涙が滲んでいた。 
「こんな格好じゃ外に出られないね」 
亜矢子は隣の部屋に行きジーパンに着替え、俺の服を持って出ていった。 
一人残された俺は、さっき開けただけのワインをコップにつぎながら、いろんな事を考えてた。 
さっきの涙はなんだったんだろう?俺はどうすればいいんだろう?

そうしてる間に亜矢子が帰ってきた。 
俺は服を着て、亜矢子のマンションの裏にある自分のアパートに帰った。 
布団に入ってもなかなか寝付けない。さっきのことが頭から離れないのだ。 
気がつくと電話が鳴っていた。知らない間に眠ったらしい。 
「昨日何してたんだよ〜突然いなくなって」 
昨日の友人からだった。まだ頭の中は眠っている。 
「ゴメンゴメン、ちょっと野暮用があってさ」 
「まさかお前、いい女ナンパして一人だけ楽しんだとか〜」 
「そうそう〜、って俺が今まで1人でナンパに成功した事なんてあるか?」 
そう、俺はモテないヘタレです。 
「そうだよな〜太郎は女の前に出ると言葉がでないもんな〜。今日、学校の帰りにでもお前んち行くよ」 
「おう」 
そう答えると、俺はまた眠りについた。

腹が減ってきたな、そんな感じで目を覚ますと友人は部屋に入ってきててポテチを食べながらテレビを見てた。 
「やっと起きたか。声かけても反応がないから、死んでるかと思ったぞ」 
時計を見ると夜の7時をまわっていた。どおりで腹が減るはずだ。 
「飯食べにいくか?」 
「そうだなー、何か買ってこようぜ。昨日の話しも聞きたいし」 
「なにを?」 
「お前の野暮用だよ。初めてだろ、こんなの」 
近くのコンビニでおにぎりとつまみとビールを買って部屋に戻った。 
「どうしたんだよ、昨日は」 
「ん〜実はさっ・・・・」 
俺は亜矢子を送って行ったところだけ話した。 
「そんだけかよっ」 
「そんだけだよっ」 
「もったいねーな〜、まあ太郎にはかおりちゃんがいるし。まさかお前が迫られるわけないだろうし、やっぱり無理だろうな」 
あの〜そのまさかなんですけど。 
「そんなときは俺を呼べ。俺のビッグマグナ(ry」 
そんな馬鹿話をしながら土曜の朝を迎えた。 
話しながらも俺はずっと亜矢子のことを考えていた。 
後から考えれば、多分このときにはすでに亜矢子のことを好きになっていたんだろう。