「いやー何でもない。どうぞごゆっくり。タオルはその辺のを勝手に使って」
(絶対いま聞こえてたな…)
「は~い!」
(しかし女の子が二人もいると家が華やかだなぁ。二人だから警戒もしないで風呂なんか
入ってるんだろうけど…まぁいっか)
ソファーに横になってそんな事を考えていると、ついウトウトとしてしまった。
「課長~!」
頬に冷たい物を当てられて、びくっとした。バスタオルを巻いただけの里美が缶ビールを
手に持っていた。
「カゼひきますよー」
「お前なんつう格好…」
良く見ると奈美も同じ格好をしている。
「だって一度脱いだの着るの気持ち悪いじゃないですか~」
「確かに…そうだけど…」
「何か着る服ないですか?」
「女性ものはないな~」
「じゃあ課長のYシャツ貸して下さいよ~男の人ってそういうの好きですよね」
「まぁ…そりゃぁ…ねぇ…でもなぁ…まずいだろ…」
「それ良い!」
奈美の意見に里美も同意した。
「じゃあここに掛かってるのを御自由にどうぞ…」
「パンツどうしよう…」
里美がはっとしたように言った。
「さっきコンビニで買ってくれば良かったねぇ~」
すると二人同時にこっちを見ている…。
「えっ…俺…?」
「すいませ~ん」
なぜかハモってる。
「まじ……?勘弁してくれよ…」
「………」
「わかったよ…」
やむを得ず買いに行くことにした。
「他に買うものはない?」
「さっき全部買っちゃったんで~」
「ですよね……それではおとなしく行ってきます」
「私ピンクがいい~」
奈美が声を上げる。
「殺すゾ」
「きゃー怖ーい。課長頑張れ~」
マンションを出てトボトボと歩き出した。コンビニに入ると確かにパンツが売っていた。
白とピンクがあった。
(ふーっ…しかし…まさか夜中に女性物のパンツを買う事になろうとは…)
ピンクと白のパンツを一つずつ手に取り、カゴに入れた。あとペットボトルの
ジュースとお茶を何本かカゴに入れた。何だか初めてレンタルビデオ店でAVを
借りたような懐かしい気分になった…。
レジに行くと店員は女性だった。
(まじかよ…)
レジの女性は事務的に処理してくれたが、パンツ2枚をわざわざ別に紙袋に入れて
くれたのには参った…。気が利いているんだか利いていないんだか…。なんとか難題を
クリアし、マンションに帰った。鍵は持っていたが一応インターホンを押してドアをあけた。
「お帰りなさいませ。御主人さま~」
二人が出迎えてくれた。
「ただいま。そんなのどこで覚えた…ホントにおまえら二人どういうつもりだ?」
「今テレビでやってましたよ~ほら~」
「質問に答えなさい!まったく…」
確かに音を聞くとそんな特集番組をやってる。
二人ともYシャツを着ていた。ちょっと大きくて意外に可愛い。Yシャツの下のナマ足が
妙に色っぽっくてドキドキしてしまった。ていうか今は二人はノーパンか?
「ほらっ。買ってきたよ」
「ありがとうございま~す」
「あっピンクがあるーっ。課長ったらグッジョブ!」
「はぁ…」
「でも課長がパンツ買ってるところ見たかったなぁ~」
奈美がニヤニヤしてこっちを見てる。
「二度と買わねぇよ…それより落ち着かないから早く履いてきなっ」
「は~い」
二人揃って奥へ行ったのでしばらく待った。
(しかし今日は何なんだ?一体どうしろって言うんだ…意味わからん…)
「履いたかー?」
「は~い」
部屋に入るとテーブルに缶ビールが幾つかあり、すでに飲んでいるようだった。
「すいませーん。ちょっと寒かったんで暖房入れちゃいました」
奈美がまたニヤニヤしている。
「寒かったら何か着れば?」
「わー課長いじわる~この格好嫌いですか~?」
「嫌いじゃないけど…」
「素直になりましょうよ!」
里美にポンと肩を叩かれた。
「さっ課長も座って座って。今日はトコトン飲みましょっ」
三人でテーブルについて飲みだした。前に里美、横に奈美が座った。