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男目線 泥酔の俺を拾ってくれた亜矢子 1

つまんないかもしれませんが、とりあえず。

あれは15年前の夏、俺が大学4年生の初秋。 
バブルの余韻でまだ街が華やいでいる頃で、週末の東京の夜はタクシー待ちの人が溢れかえっていた。 
卒業後の進路も決まり、友人2人と新宿に遊びに行き、朝まで飲もう〜っと話してたが、酒が弱いはずがない俺は何故かあっけなく撃沈。 
休めるところを探そうと友人に支えられてふらふらとネオンに照らされる歌舞伎町を歩いていた。 
マクドナルドに入り、コーヒーを飲んで何分か眠ったでしょうか。急に気持ち悪くなり、トイレでリバース。 
これが良かったのか、少し酔いも醒めてきて何とか自分で歩けるぐらいになり、友人が知っている店に行こうとマックを後にした。

3人で話しながら歩いて表通りに出て店に着き、さあ入ろうかと言うときに後ろからドンと衝撃を受け、前のめりに転んでしまった。 
何があったのかわからないでいると、背中から「ゴメンね〜」と声が聞こえた。 
これが俺と亜矢子との出会いだ。 
俺も酔っていたが、亜矢子も少々飲んでるようで、私の背中から降り「ゴメンね、ゴメンね」と頻りに謝っている。 
転んだ痛さやケガは無かったのだが、シャツが汚れてしまっていた。 
それを見つけた亜矢子は「ホントにゴメンなさい」と更に謝り続けている。 
まぁ酔っていたのと、亜矢子の謝る姿にそんなに謝られてもと思った事もあり、 
「気にしないで〜、これ脱いでTシャツになれば大丈夫」 
と言って店に入った。

しばらく飲んでると、また酔いがまわって来たので、 
「ちょっと夜風に当たってくる」 
と言って外に出た。すると店の前にまだ亜矢子がいる。 
何してるんだろうと思っていると、亜矢子が俺に気づき小走りに駆け寄って来た。 
タクシーに乗りたいんだけどなかなか止まってくれないので、一緒にタクシーを捕まえてくれないかと言う。 
私が店にいた時間は1時間ほど、その間に全然タクシーが止まってくれないと言ってたわりには、10分ほどでタクシーが捕まった。 
タクシーに乗り込み窓から顔を出して 
「ありがとう」と言う亜矢子、 
「じゃあね〜」と手を振る俺。

タクシーが走り初めて10メートルほど走ったと思ったら、急に止まってバックして俺の前に止まってドアが開き、 
「一緒に私の家で飲まない」と亜矢子が言い出した。 
「?」と思っていると強引に俺の手を引きタクシーに乗り込ませ、「ちょっと、ちょっと」と言う俺の言うことも聞かずタクシーは走り出した。 
タクシーの中はしばしの口論。当時の俺は付き合ってる彼女(かおり)もいたし、友人に何も言ってなかった(当時は携帯電話なんて一般には普及して無かった)ので強引にタクシーを停めさせて降りようと思ったが、 
目に涙を溜めた亜矢子が小さな声で「お願い」と言った一言で亜矢子の家に行くことにした。

タクシーの中で亜矢子が話し始めた、今日、彼氏と別れた事を。 
そんなときに俺にぶつかってシャツを汚したのに、一緒にタクシーを捕まえてくれて嬉しかったと。 
そんな話しを聞いているうちに亜矢子のマンションに着いた。 
酔ってたのと話しを聞いていたのとで外を全然見てなかったが、タクシーを降りてビビッた。 
俺の住んでるボロアパートは亜矢子のマンションのすぐ裏手。 
「俺のアパートこの裏、徒歩1分ぐらい」 
「え〜、うそ〜ッ」 
って会話を交わしながら、交通費儲かった〜っと思った記憶がある。 
亜矢子の部屋は2DKでキレイに整頓されていた。俺の部屋とは大違い。

「汚しちゃったシャツ洗濯するから」 
と俺のシャツを取り上げると洗濯機へ。 
「Tシャツも汚れちゃってるね、一緒に洗濯するから脱いで」 
脱いでって言われても、「俺とあなたは初対面なんですけど、裸になっちゃいます?」と思いながら躊躇してると、 
「明るいところで見ると、顔も汚れてるからシャワー浴びてくれば」と言いながら俺の背中を押します。

確かに鏡を見ると汚れてる。「俺んち風呂無いし、ありがたいな〜」と感謝しつつバスルームへ。 
狭いながらもバスとトイレが別々だ。 
シャワー浴びてると「バスタオルここに置いとくね」とドア越しに亜矢子の声がした。 
「ついでにパンツも洗濯したから」 
えッ、俺はどうすれば良いんでしょうか?シャワーを浴び終え、とりあえずバスタオルを腰に巻き部屋へ。